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協会会長が読む競争問題

平成27年1月7日平成27年年頭所感

                             年頭所感

                                              競争法研究協会 会長  伊従 寛

 新年あけましておめでとうございます。

 ご存知のとおり、2013年12月に通った独禁法の改正案に基づいて今、独禁法の執行手続きの規則を公取委では検討しています。おそらく近いうちにパブコメされると思いますが、どうなっているかということを簡単にお話ししておきたいと思います。

 アメリカでは独禁法が実施されたのが1900年前後です。ルーズベルトのニューディール政策の第二期の頃です。そのところに日本の独禁法が出来ました。1950年代・60年代で、随分強化され、合併規制が始まって十数年間で約1千件の合併が規制されました。
それから当然違法の原則は価格協定だけでも再販、テリトリー制などで非常に発展して、鮮明に独禁法の流れができたのです。

 その後半世紀経って、アメリカの独禁法は随分変わっています。
一つは70年代に最高裁の判例で、合併についてはシェア基準だけでは規制できない、ほかの要因をちゃんと考えないとだめだという判決でした。そして77年にシルベニア判決で、当然違法を合理の原則に変えてしまったのです。ブランド間競争では競争制限効果と促進効果の両方見なければいけない。だから当然これでやるのはおかしいという論理に立った。
 80年にレーガン政権のとき、価格協定以外は全部合理の原則でやったところができて、それで違反かどうかは経済自治体に則してやるというかたちになった。これは上院、下院民主党でしたから、レーガン政権とブッシュ政権の12年間に、執行部と議会は対立した形になっていて、その間、判例のほうは緩やかなかたちで合理の原則をどんどん拡大していきました。

 その後民主党政権になって、民主党は判例を尊重して経済自治体に則すということでした。現在のアメリカ独禁法の規制というのは、クリントン政権のときに合併規制をして、技術ライセンスにしても80年以前はアンチパテントになり、特許は非常に危険だといわれていたのが、レーガン政権はプロパテントになりました。
考え方だけではなく、実際に95年のガイドラインにそれが反映されて、そこで60年代の規制が大きく変わりました。
それと同時に、じつは手続きも変わったのです。アメリカの場合刑事事件は別にして、立ち入り検査はありません。ですから強制権限に基づいて報告命令とか資料提出命令でやるわけです。疑いがあれば、どの程度の疑いかということも相手方に知らせなければいけない。相手方がそれが適当な強制権限かどうかを納得できなければ、裁判所で争うわけです。ですから結局違反の被疑事実をはっきり説明しないといけない。

 結局、随分手続きが変わって、2009年にオバマ政権の時、局長がアメリカの手続きについて説明していますけれども、アメリカではもう強制権限でやる以外ない。強制権限は要するに調査のための一つの土台みたいなものですが、それををそのまま出すのではなくて、相手との対話でやる。それはダイアログとディスカッションなのです。相手はいつでも疑いについて審査の各段階で来ているし、どういう疑いがあるかがわかっている。病院へ行って、レントゲンの写真なんかを全部見せるみたいなものです。ですから調査するのだったら協力しようという形になっています。情報交換はいつでもやります、意見交換もいつでもやりますということです。
 
 今は独禁法を強制権限を使ってやるのではなくて、相手との協調によってやっています。このようなスピーチを2009年に国際法曹協会の会合でしています。

EUの手続きはアメリカと同じように、日本ではまだはっきりしていない事前聴聞制をとって、防御権も認めて、審査官の資料も全部開示しています。それでも文句が出ている。制裁金が高くなったということもある。10億ぐらいが500億、1,000億ぐらいです。ことに単独行為の問題について、EUの執行手続きは不公正だということになっている。そのときにこのスピーチが影響して、結局EUは2011年10月に、FTCと同じように相手方と十分に意見交換、情報交換の会合を持って、相手方に納得してもらって調査をやるというかたちに変えているわけです。

 要するにこの50年間で、独禁法の執行手続きが随分変わっているのです。日本はそういうことをあまり知らないで、2005年の改正で反対に事前聴聞手続きをなくしているわけです。これから外国企業も日本に入って来て、手続きが米国、EUと日本が違うわけですから、国際的に協調をして独禁法をやることはできないし、作業部会もいろいろと困ると思います。こうしたことはあまり知られていません。
 今、手続き規則が検討されていますが、こういったことをよく考えながら、作業部会でもこれはいいチャンスですから、十分意見を言ったほうが宜しいと思います。

平成26年8月1日最近の月例研究会での会長挨拶の言葉

2014.7.11 第219回月例研究会 伊従会長挨拶の言葉


 本日はお忙しい所お集まり頂きまして有難うございます。お手元に、「独占禁止法審査手続に関する論点整理への意見」という資料をお配りしました。今年2月から内閣府で独禁法懇談会が開かれていて、色々な論点整理がなされているのですが、それらの論点整理に関してパブリックコメントが募集されていました。既に経団連ほか各関係から意見が出されていますが本日(7月11日)当協会を代表して私が提出を致した資料です。

 昨年末の改正独禁法で、付則で独禁法違反の審査の段階で企業の防御権、弁護が十分かどうかを検討しなさいということで、国会の付帯決議ではそれを前向きに検討するということでした。

 今は経済が非常に複雑になっています。市場に独禁法を適用するのですが独禁法は「競争を制限したか否か」を判断する、大変抽象的な法律なのですが、企業・市場の実態を正確に把握して規制されなくては困る。企業の方は、法律の専門家としての弁護士に相談しながら、必要な時は立ち会ってもらって対応する、そうした手続が保障される必要がある。


 独禁法47条に審査手続が規定されていて、任意ではなくて強制的な審査権が書かれています。その中の資料提出命令や報告命令、これらは期間の余裕があるから企業としても落ち着いて考えられます。
困るのは立入検査と供述調書。これは任意ということになってはいるけれども実際には公取に呼ばれ、出頭を断ることはできません。供述調書を作る場所も指定されて、そこは密室です。必ずしも任意ではない。


誘導尋問は禁止されているはずですが供述調書を取るためには前もって審査官のところで準備されていて、そうした質問に応じて答えるという形で作成されています。審査官の筋書きが入っているということも考えられます。
供述調書は、法廷で争った場合に証拠として使われる場合があります。嘘をつくと罰則がかかる宣誓証言がついていても、例えば審査の早い時期に本人が喋って押印しているとなると、こちらの方が優先されて、違反だと認定されている。
そういうことで、取り調べ方について非常に問題があると、意見書ではそれらのことを指摘しています。最初から弁護士がついて、企業の立場からの意見も反映して、つまり多角的に両面を見て実態を正確に把握して、実態に則した独禁法の運用をして頂きたい、という趣旨の意見です。


 アメリカでは今、独禁法運用は非常に厳しい。政策的なことに関しても日本はアメリカの真似をして課徴金などを上げていっている。そうであれば手続面でも同じにしてほしい、ということです。


実体規定の方に皆さんは関心があると思いますが、独禁法はむしろ手続の方が重要で、今度の改正は、独禁法にとっては非常に重要です。アメリカでは独禁法は判例法で、裁判所で決まっていく。アメリカでの60年代ガイドラインでは、合併については25%超えれば認められないという規制を、約20年間、1000件近く続けていたのですが、現在では判例によって変わってきました。例えばボーイングとダグラスの場合など大型合併の場合で、100%でも認められましたがこれは法律改正ではなくて判例で変わった。判例法が優れているのは手続面です。


独禁法はアメリカが世界的にみても先例で、他の国もアメリカの運用を見習って具体的な規制を行なっています。ですから手続問題は大変重要なのです。今回のパブリックコメント募集は、この機会に勉強するという意味でも良い機会と思います。

平成26年6月20日最近の月例研究会での会長挨拶より

 本日はTPPについてのお話です。TPPは難しい問題で、非常に影響が大きい。なかなか決着しないのも、それだけ困難な問題を抱えていることを物語っています。
 グローバル化が進むことで、二点注意しなければならないことがあります。ひとつは東アジア市場という成長率が高い新興国に欧米が入って、益々国際競争が激しくなるということです。国際競争というのは外国法の競争であることには間違いないのですが、自由化した場合に日本がその市場に含まれてしまうのです。いろいろ企業の活動に影響が大きいと思います。
 それからもう一つは、外国独禁法というと日本では米国とEUの2つだけだったのですが、東アジアとの関係が非常に密接になってきて、皆さん方の企業でも東アジアに進出したりと、関係が深いと思います。そこでの独禁法です。日本の独禁法は終戦直後に出来たのですが、韓国では1980年に制定されて、日本の影響を受けている。ただ90年代から韓国は大分変ってきています。他の国も2000年代から随分積極的運用をしています。動きを知っておかなくてはならないと思います。

(2014.5.14 第217回月例研究会 伊従会長挨拶の言葉)

平成26年4月11日第215回 月例研究会((H26.3.12)にて

本日は皆さんお忙しい所お集まり頂き、有難うございました。
 昨年5月に出されていた、独占禁止法の改正法案が12月に成立しました。
  経緯をちょっとお話しますと、2005年の法改正で、アメリカの事前聴聞制度をモデルにしたような事前審判制度、要するに処分前に、不服があったら争える規程を削除しました。独禁法の執行手続を強化するという非常に強い要望があり、それに沿った形で課徴金を5倍にして、算定率も10%に、さらに再度の違反者には割増、それからリニエンシー制度という、情報を最初に提供した場合には課徴金を減免するということにしました。その時に附帯決議が付きまして、その規程については問題があるから見直そうと、内閣府に独禁法懇談会が出来て、2年間審議されました。会議は30数回されて議事録も全部残っています。
 2007年に報告書が出されて、独禁法の場合には準司法的な事前聴聞手続が必要だという提案をしたのですが、公取委はすぐに、事後審判制度を維持するという見解を発表しました。2009年に経団連が、被処分者がまた審判をされるというのはおかしいから、見直し案として、すぐに裁判所に行くべきで事後審判制度はやめてほしい、そしてもう一つは事前手続の充実をせよ、という要望を出しました。

 2010年の法案は審判の廃止ということを非常に強く言いました。公取は訴追機関ということで執行力を強化すべしと。これには独禁法の非常に多くの学者が消費者団体も反対していました。そして2013年の法案では、事前手続に関してちょっと曖昧になって、国会では11月に、衆議院と参議院で一日のうちに審議を終え、いずれも可決しました。

 衆議院経済産業委員会での内容を見ますと、ちょっとびっくりしました。公取と稲田大臣が答えているのですが、審判については「審判廃止」とは言わない。経済界から、審判官と審査官が一緒になってやっていることについて、不公正性という懸念を抱かれているので、その懸念を払底するためにやめる、こういう言い方をしていました。それともう一つ、杉本公取委員長の説明は、公取は今まで審判、を証拠に基づいて厳正中立的にやってきたので良いのである、ということです。ですから内容を見ると、事前聴聞手続はよいのだと、やめるのは、外部からの誤解があるので払底するためにやめる、こういうことでした。

 それで、今度の新しい意見聴取手続は、手続管理官がきちんと、証拠もとってやりますということで、期間もこれまでの2年以上かかっていたものから、短くすると。実質的には前と変わりないものだと思います。ただし、手続管理官は、委員会に対する報告だけで、自分の意見がどこまで言えるのかわからない。想定すべきだという意識があって、想定するにあたり証拠があるから、証拠の評価を入れるべきであると。結論を出さない、日程を入れるかはっきりしない、委員会は十分に手続管理官の報告書を斟酌しなければならないが、斟酌すべき内容が曖昧だということです。

 それから国会での附帯決議で、これは公取の答弁と改正問題担当・稲田大臣の対応を受けたものですが、事前手続を充実させる。手続管理官の中立性を確保させ、明確・確実な形にせよということです。
 また、付則で、審査手続の中で被処分者の弁護権を拡充するということで、弁護士の立会権、コピーの取得権などです。これについて見直しをしようと、内閣府に審議会が今月(3月)末に出来るようです。今後一年以内ということです。産業界にとって大事なことは、一方的に考えを言っていられない。争うことができるかどうか、事前聴聞手続ができるかが非常に重要です。アメリカでもEUでも、憲法のところで、軛処分される場合には必ず事前に争うチャンスを与えろと言っています。それは日本では守られていない。手続がきちんとしていないと、行政官庁の裁量の範囲内で、考えを押し付けられるだけになってしまう。内閣府の言っている「準司法的手続な聴聞手続」:準司法的というのは証拠に基づいて、ですから、証拠に基づかないものは処分できないと、こうはっきりさせなくてはならないのです。こうした重要なところで、これから一年間の審議会で色々チャンスがあると思いますから、企業の方でもいろいろお考えになると良いと思います。

平成26年1月1日平成26年年頭所感

あけましておめでとうございます。
 

 独禁法ができたのは1947年ですから、今年でもう60年以上になります。今、改正案では手続の問題が、結局以前話しましたように、出来てみたら手続が違う手続なので、アメリカやEUの手続とも違う形になっています。それをそのまま恒常化しようという改正案ですから、非常に問題だと思います。手続ばかりではなく、日本の場合、法律自体、実体規定についてもあまり突っ込んでやっていない。アメリカの表面的なまねだけをしたという面が強いです。不当な取引制限、カルテル、中心になるのは価格協定の問題です。競争者間の協定の問題です。アメリカでは価格協定についても、法律ではなくて判例法で立証の方法として、具体的に競争制限を立証する必要がなく、価格協定の合意があればそれだけで立証できます。当然違法の原則に乗っているのですね。要するに、競争の実質的制限まで入って経済実態を分析して違法かどうかを決めるのを合理の原則といって、通常は合理の原則でやるけれども、価格協定だけは一番やりやすくて、弊害も多いということで、当然違法の原則(per se illegal)という制度があります。日本は、アメリカでできた判例法の証拠法上の原則をそのまま取り入れて、原則禁止にしました。
では、この話の続きは、月例研究会でお話をしたいと思います。
会員の皆様の独禁法研究へのご理解を一層深められますよう期待いたします。

 

平成25年11月6日平成25年10月9日 第211回 月例研究会にて

 最近、独禁法関係で1番重要な問題は、今年の5月に公取委が独禁法の改正法案を出したことです。この法案の内容は、今から3年前になりますが、2010年3月に出した法案とほぼ同じ内容です。どのような内容かといいますと、2005年の独禁法改正以前には、独禁法の事前審判手続、つまり、処分をする前に被処分者が争った場合は、処分前に事前審判において被処分者の意見を十分に聞くという手続があったわけですが、独禁法の執行力強化の観点から2005年の法改正により、その事前審判制度を廃止して、処分をした後に被処分者の意見を聞くという事後審判制度に変えています。憲法第31条は、何人も適正手続によらなければその生命財産を又は自由を奪われないと規定し、行政手続き法は重要な危害を毀損する場合には事前聴聞を規定しており、この改正点は国会の審議でも問題になり、改正法の附則13条で政府は2年以内にこの点の見直しをする条項か付けられました。そして、内閣府に独占禁止法基本問題懇談会が設置されました。この懇談会の報告書が2007年6月に出ました。その報告書は、「独禁法違反事件のように事業者の活動に重大な不利益を与える措置を採る場合には、被処分者に対し事後審判方式ではなく、準司法的な事前審査型審判方式を採ることが適切であるので、一定の時期が経過した後、事前審査型審判方式を採用する必要がある」という提案を行いました。公取委はこの提案を事実上拒否して、2010年に出したのは、事後審判手続を廃止する法案であり、そこでは行政処分の前には2005年改正後の現行法の「意見陳述手続」と実質的に変わらない「意見聴取手続」を採るだけであり、内閣府懇談会の提案した準司法的な事前審査型審判方式は採用されず,証拠による中立的な事実認定の制度は排除されていました。この法案に対しては50名を超える独禁法学者が内閣府懇談会の提案した事前審査型審査方式を無視するものとして反対し、全国消費者団体連絡会も同様の理由で反対しています。この法案は、その後国会では実質的に審議されることなく、2012年11月の衆議院解散により廃案になったのですが、本年5月24日に公取委は再度この法案を国会に提出しています。それから、「公正取引情報」に出ていたのですが、米国通商代表部(USTR)の本年度の不公正貿易報告書には日本の独禁法改正で事前聴聞手続が削除され、憲法の適正手続(デュープロセス・オブ・ロー)の原則に違反する疑いがあるとしています。適正手続は民主主義の基本に関する原則であるので、この批判は十分に考慮する必要があると思います。この情報については,外務省に問い合わせましたが、確かな情報です。独禁法の基本手続きが米国・欧州連合と対立していると言うことは極めて重大なことだといえると思います。日本の企業としてはこの独禁法の手続が米国・欧州連合と異なり被処分者に不利にされていることに十分留意する必要があると考えます。

 米国では以前から独禁法の執行手続を非常に重視し、処分をする前にはっきりと事前聴聞制度をとって、裁判手続と同じように、審査官の集めた資料については、原則的にすべての資料を被処分者に閲覧させて、それを証拠として利用することができるという手続を採って、準司法的な手続になっています。欧州連合も以前から事前聴聞権を基本権として被処分者に認めていましたが、ご存じのとおり欧州連合では独禁法違反の制裁金が90年代から著しく高額になり、産業界がそれに対して非常に反発して、「手続を公正にしてほしい」と主張し、結局2011年10月に違反事件審査手続に関する「ベストプラクティス」という通達を欧州委員会が出しましたが、その手続の内容は米国の連邦取引委員会の手続とほぼ同じになっています。審査官は法律で強制調査権を与えられていますが、審査においてはできるかぎり相手方の了解を取って審査するようにし、相手方に違反事実を自白させることは禁止され(自己負罪拒否権)、供述に際しては弁護士同伴が許容され(弁護士同伴権)、供述調書のコピーは入手でき、審査中に上級審査官や審査局長と面会し質疑を交わすことが保障され、和解手続(同意命令手続)の機会が与えられ,処分案を争う場合には処分前に事前聴聞権が与えられて証拠に基づく事実認定の権利か与えられ、審査官が収集した資料はすべて閲覧し証拠として利用することができ、審査・聴聞手続の重要な段階で審査官等と質疑応答する機会が与えられ、事前聴聞の主宰者(聴聞官)は審査関係者や上級職員からの独立性が保障されており、審査・聴聞の全課程を等して当事者は対話と協議により審理手続きが進められるとされており、詳細な手続き規則が公表されています。問題は、市場経済の関係事業者は対立と強調の中で事業活動と競争を行っており、その行動の認定は極めて複雑であり、審査官が一方的に資料を評価し事実認定を一方的に行うことは適切でなく、市場の経済実態に即して事実認定を行う必要があるからであるので、相手方に対して最大限の弁護権を当てています。市場経済の場合には、関係事業者というのは、ある面からみると、よくカルテルなどで同業者がみんな集まって協調して値を上げることばかり考えるとうことですが、反対の側面から見ると、同業者はみんなライバルで敵対しています。ですから、対立と協調と両方あって、資料の見方や評価の仕方というのは非常に難しいわけです。それを審査官の一方的な視点で見るのは問題であり、被処分者もすべての証拠について閲覧して評価することが認められています。米国でも欧州連合でも関係資料を全部当事者に公開して、それを利用できるという形にして、その証拠でもって客観的・中立的に事実認定をするということになっています。米国の反トラスト局長は手続を公正で透明にすることは被処分者の防御権を守るためだけではなく、複雑な市場経済の秩序を守る独禁法の執行手続をすべての市民に信頼されるためにその公正性の保障が必要であり、そのためには独禁法の行政処分をする前に相手方の意見を十分に聞く必要があると述べており、日本の2005年の執行力強化のために処分前に相手方の意見を聞かないという考えとは逆の考えを述べています。日本の場合、独禁法執行手続において被処分者の意見を聞くという事前審判制度を2005年改正で執行力強化のために否定し事後審判制度にしたのです。このような面でいうと独禁法の手続は非常に重要な問題で、実体規定の改正よりも今度の手続の改正のほうが重要です。今回の改正法案がそのまま通れば、準司法的な独禁法の事前審査型審判方式が長期的に否定されることになり、そのことはわが国の独禁法が米国や欧州連合の独禁法と異なり、市場経済の経済実態に沿った準司法的で民主的な手続と相反する手続で公取委の意のままに執行される独禁法になるからです。ですから、現在国会に提出されている独禁法改正法案の問題については、独禁法の実際の適用を受ける皆様方が是非強い関心をもっていただきたいと思います。

平成25年8月1日平成25年7月23日 第6回競争政策研究会にて

 皆様、お暑いところお集まりいただきましてありがとうございます。今日は隅田先生から、アメリカ、EU、日本の縦の制限協定について比較してお話しいただくわけです。わたしはその前に、縦の制限協定というのは、独禁法でどのような位置を占めているか、ということについて簡単にご説明しておきます。
 お手元に1枚紙の「縦の協定の規制と独占禁止法」というメモがあります。これを簡単にご説明します。日本の独禁法は今、随分条文が長くなっていますが、アメリカもEUも、よく法3条といいますが、独禁法の基本規定は3条ばかりです。規制している内容は3つあるわけです。1番目は、単独行為です。独占的な企業の単独行為です。2番目は、共同行為です。企業同士が共同してやる行為です。3番目は、合併の問題です。独禁法を持っている国は100カ国以上ありますが、それが集まってICNというのがあります。そこでも大体この3つの対応に分けて議論しています。ですから、いろいろ言うけれども、独禁法といった場合に、この3つの行為対応が規制の対象になると言っていいと思います。
(第6回競争政策研究会 会長挨拶より抜粋)

平成25年4月18日第206回 月例研究会にて

 皆様、お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。
 新聞でご存じのとおり、先月公取委の委員長に杉本さんが就任されました。去年の9月以来かなり長い間、3人の委員で異常な状態が続いていたのですが、3月になりまして新しい委員会ができたということです。新委員長は、就任のときに、前委員長の後を継いで同じように独禁法を冷静に運用していくといわれています。新聞でご存じだと思いますが、今、政治的には消費税の増額の問題が重要で、それに伴って、公取委は、消費税が適正にとれるように独禁法でバックアップすることでいろいろ措置を考え、それが法案になって出ていましたが、当面はその問題が一番重要で、公取委のほうも忙しかったのではないかと思います。
 委員長は、今ご紹介しましたように、前委員長の10年間の実績を踏まえてその路線を続けていくと言っておりますが、そうなるかどうかについては、わたしは若干疑問を持っております。といいますのは、今の独禁法の運用というのは、国際的なアメリカ・EUを中心にした独禁法の運用ルールが、経済のグローバル化に対応してかなり変わってきています。日本と格差が出ているのではないかという感じを受けています。どのような点かといいますと、いくつかの面で出ていますが、1つは国際カルテルです。グローバル化に伴ってグローバルな競争が大きな流れになって、それを阻害する国際カルテルに対して、アメリカ・EUでは90年代半ばから非常に厳しく取り締まっています。日本の企業がそれに含まれていて、アメリカ・EUで随分取り上げられています。今アメリカでは特に国際カルテルの対策として、外国企業の独禁法違反に対して会社だけではなくて個人も。日本も個人をやっておりますが、個人に対する刑罰が執行猶予付で実際に実刑が科された例はないのですが、アメリカではどんどんこれを実刑化していて、それが非常に多くなっています。
 先日新聞にも出ましたけれども、自動車の部品問題で日本の企業の幹部が随分収監されております。日本ではなかなかそういうことをしないのですが、刑期が従来は2~3カ月であったのが、今は3年、4年とどんどん厳しくしております。日本も合併については反対にグローバルな競争に対応するために、随分前からシェア基準から実際の経済的な分析に変わってきています。これも日本がシェア基準から離れだしたのは2000年ぐらいです。ですから、これも随分遅れていて、また、手続も経済分析になるとどのような調査をするかというと、手続についても膨大な資料が必要です。一昨年の新日鉄の合併のときに、欧米並みになって、これも改善されてきているわけです。
 今残っている重要なことは2つあり、1つめは縦の協定です。メーカーと流通・販売業者との関係。各国では、国際競争に対応するために、縦の協定は横の協定と違うという認識が強くなって、ブランド内競争については原則としてはやりません。ブランド間競争を制限する場合にやる、と。それも競争に対する経済的な悪影響を立証してやるというかたちになっています。これがかなり形式的になっています。1991年の流通ガイドラインがかなり遅れているわけです。あのようにやることが、家電業界のように流通対策、販売組織が非常に遅れてしまいました。国際競争で非常に不利になります。このような問題が解決していないのです。
 また2つめは、手続が競争に対応するので、制裁金が高くなったことと関係しますが、EUが手続を2011年10月にアメリカのFTCの手続とほぼ同じ手続に変えています。基本的な考え方というのは、当事者、つまり規制する職員と規制を受ける会社の職員との対話によってやる、というかたちになっています。日本の場合、かなり一方的に手続がとられているし、2005年の改正で事前手続をやめて処分をいきなりやって、文句は後で聞くというかたちになっています。それに関連する改正案も出て、今廃案になっています。それをどうするかという問題が出ています。 
 ですから、このような状態をみると、前委員長のときの路線がとられるかどうかについては、わたしは若干疑問です。この動きというのは、グローバル経済がどんどん進んでいるわけですから、しかも東アジア市場を中心にそれが展開されるというときにどうなるかというのは、皆様方も関心を持たれておくといいのではないかと思います。
 (平成25年4月 月例研究会 談話より抜粋)

 

平成25年1月1日平成25年 年頭所感

あけましておめでとうございます。

下請法の問題の最近の規制の状況について。
 下請法というのは、独禁法の中では昭和28年の改正で入った優越的地位の濫用行為の規制に属するものです。ご承知のとおり、優越的地位の濫用行為については、独禁法の学者の中では意見が分かれていて、積極説というのは正田先生に代表されるものです。正田先生の独禁法の理解というのは、経済的弱者を救済するのが独禁法だ、という見地から優越した地位の濫用についてはほぼ全面的に支持する考えです。それに対して批判的なのは今村成和先生です。独禁法というのは本来競争制限行為を規制するから、競争制限行為との関係上、優越的地位の濫用についてはあいまいである、というので、規制そのものに反対されているわけではないのです。今までもこの2つの考え方というのは共存していて、公取ではやや中間説のような形をとって、競争の制限に直接関係はない、と。中小企業の営業の自由の問題だ、というような形で、やや中間的な見解でやってきています。
独禁法上はそのような問題があるのですが、現実の問題でいいますと、下請法は非常に重要な機能を果たしていると思います。この前の3.11東北の震災の後、世界が注目したのは、1つは、日本の経済はこれで大丈夫なのか、と。その当時聞かされた意見では、アメリカでは6~7割は「日本の経済はこれでだめになる」、あとの2~3割が「日本は明治維新のとき、それから戦後の発展を考えると、また回復するのではないか」というのがあって、世界でも震災後の日本の経済についてはかなり悲観的な見方が多かったわけです。震災の後、出てきたことで非常に重要なのは、日本では自動車や家電等の部品産業が非常に発達している。いわば下請産業が非常に発達していて、今や日本の企業だけではなくて世界の有力な企業の下請企業になって、その基盤を支えている、ということです。そのような面では、下請企業が健全に発展してきているので、これに下請法は大きな影響を与えていると思います。今ここに集まっている方はほとんど大企業の方ですが、大企業が日本の経済をリードしているといいますか、その元になっていますが、企業数でいいますと、98%の企業が中小企業です。大企業は2%ぐらいです。ですから、大企業と中小企業が共存しているわけですけれども、それは競争している立場もあるけれども、ほとんどが直接・間接に下請関係といいますか、大企業の製品をつくる過程において、あるいは販売する過程において、中小企業と協力しているわけです。やはり大企業は経済力が強いですから、無制限にそれを効率的に発揮されたら、中小企業は非常に不安です。
この点が、独禁法上の位置づけというのは非常に難しいから、下請法に関する限り、みていきますと。それ自体、日本の経済に対して影響を与える。大企業が下請法の適用を受けて非常に困る面が多いと思いますが、長い目でみますと、大企業の基盤を強化しているといわなければならないです。
(以上、月例研究会にて会長挨拶より一部抜粋)

 

平成24年9月21日第199回 月例研究会にて

お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。
このところの東京電力の値上げの問題が新聞等で報道されています。東京電力による値上げが独禁法違反になるのではないかと、どこかの企業が公取委に申告をしたようで、しばらく前ですけれども公取委は。それについての回答を出して、「私的独占」にはならないとしました。「私的独占」というのは、市場支配的な企業が、「他の事業者の事業活動を支配又は排除する」という要件が法律で規定されているので、値上げがこの要件に該当しないことは明らかですから、公取委はこの規定には違反にはしないという見解を出したことは、当然のことだと思います。しかし、公取委はそれに加えて、値上げが「優越した地位の濫用になる場合」には問題になる場合がありうる、ということを付け加えて言っています。私は、これはおかしいと思います。電力の販売については「私的独占」で規制していて、これが適用される規定であり、「優越した地位の濫用行為」の規制は基本的に購入面の規制です。大規模小売店や親事業者が納入業者や下請業者をいじめることを規制する濫用行為の規制規定です。国際的にも「購買力問題」(buying power)として規制議論があります。独禁法の「私的独占」は販売面を中心に規制を考えており、購入の問題というのは独禁法の普通の規定ではなかなか規制できないので、buying powerの問題として検討されています。日本の場合には、昭和28年に優越した地位の濫用規制という規定を「不公正な取引方法」として入れたわけです。主としてその当時の百貨店と問屋の関係や下請関係の問題でした。取引に際して当事者間に契約がなくて、納入業者は契約で保護されず、百貨店の言うとおりになっている。下請企業についてもそうだったわけで、前近代的な取引の問題です。このようなものについて、優越した地位の濫用の問題があったわけですが、販売の面についてこのような規制を言うというのは基本的におかしいのであって、問題があれば「私的独占」の問題です。そもそも電力料金については、電気事業法があって経済産業省が所管しているので、同省が電力料金自体を規制しているわけです。文句を言うほうも、そこに要望を言えばいいことなので、それを公取委に持ってくるというのもおかしい。
また、消費者は電力値上げ問題を消費者庁に持ち込んで消費者庁も電力料金問題を検討している。消費者庁は電力料金の規制問題について規制権限を持っていないのです。電力料金については電気事業法に規定があって、規制しているのは経済産業省です。ですから、消費者は電力料金の値上げについて意見があるなら、経産省に意見や要望をすべきです。本来であったら、電力料金値上げについて消費者や関係業者にいろいろ意見や要望があれば、経産省が公聴会を開くとかパブコメをして、消費者や消費者庁はその場で意見を言うのが法治国家の法律の建前であり、基本的なルールです。こういう基本的なルールが無視されているところに問題があり、長期的にみれば、規制の重複により規制が無責任になり、解決がかえって遅れると思います。消費者庁は、ある問題について消費者の立場から意見があるのだったら担当の規制官庁に意見を言えばいいことで、このような面でいうと、何か基本的な法制上の問題というのが非常に乱れていると思います。
そのような問題が最近かなり出てきていています。消費者庁も安全の問題について、今見てみますと、食品の安全、自動車の安全、航空機の安全、原子力や放射線の安全等についても消費者庁の関与のみならず規制権限や認可権をもっており、消費者に関連のある問題はすべて消費者庁が一元的に規制が必要だという風潮があります。広告では消費者庁認可の食品というのが出ています。このような問題については、政治家にも問題がありますしかし、安全問題はその対象商品ごとに異なっており、食品の安全と自動車の安全、原子力や放射線の安全というのはそれぞれ全く異なり、それぞれの専門機関でなければその安全の確保はできないはずです。米国にも消費者委員会がありますが、先日トヨタの自動車のブレーキの安全問題が大きな問題になった時に、その解決を担当したのは消費者委員会ではなくて、運輸省長官でした。安全について問題が生じたときに、それを正しく解決できるのはその商品の専門機関以外には規制能力はないわけです。安全問題はその商品の所管官庁が責任を持つべきで、消費者庁は所管官庁が十分にその機能を果たしていない疑いがある場合にそれを監視するとか、勧告するとか、二次的な役割の官庁にすべきです。まず、所管の専門機関が規制を行い、そこに何か問題があれば消費者庁が意見を言ったり、勧告をしたり、あるいは国会に意見を提出したり、場合によっては裁判所に提訴するなど二次的な規制をするのが本筋です。いずれにしても消費者庁は二次的な監視機構の問題です。米国をはじめ先進国では基本的にこのような状況になっています。日本ではポピュリズムが強く、消費者の目先の利益を追求する傾向があり、政治家にもその傾向があります。これでは基本的な消費者利益を確保することができないばかりでなく、関係する事業者や産業界も大きなマイナスを受け、問題は複雑になるだけです。消費者庁は自ら規制するのではなく、第一次の規制は専門機関に任せ、消費者庁は、そこに問題があれば担当専門機関に意見をしたり、勧告をしたり、国会に意見を言うとか、裁判で争うとか、監視的な面を担当すべきだと思います。このような基本的なところが今非常に混乱しており、これは消費者のためにもならないし、関係する企業のためにも複雑な問題を負わせることになるので、企業もこのような常識的な問題に対して明確な意見をいう必要があると思います。

 

平成24年4月20日第196回 月例研究会にて

 最近の問題を2~3、お話ししておきます。日本では、価格カルテルに対してはアメリカやEUと同じです。今日のテーマの国際カルテルについてはどこも厳しいです。国際カルテルについては、各国の当局がかなり緊密に協力しているので、どこかの国でやると、要するにそれが日本でも取り締まられることになっています。日本では、今優越した地位の濫用の問題が非常に多くなってきているわけですが、これは私的独占などを含めて単独行為といわれています。単独行為と共同行為。カルテルなどは共同行為ですけれども、個々の企業がやるのは単独行為といわれますね。アメリカは、単独行為については非常に慎重です。といいますのは、企業の単独行為が競争の元になっているから、企業の単独行為をやたらに規制すると競争を抑圧することになるので、弊害がはっきりしている場合でないとだめだということです。裁判所も非常に厳しいです。マイクロソフトの問題なども、地裁でマイクロソフトの抱き合わせの問題について独禁法違反で企業分割となったわけですが、控訴審に行って、これは反競争的効果についての立証が不十分だからというので差し戻しになっているわけです。要するに、裁判所でも、競争が制限されるのか、競争が促進されるのかの区別を厳密にやりますから、非常に難しいです。ですから、優越した地位の濫用の問題は、アメリカは非常に慎重だということです。EUのほうが積極的ですが、一般的にいわれているのは、濫用行為というのは私的独占でやったらまず取り締まることはありません。購買力の内容です。ですから、日本でやっているのも、大規模小売店などが問屋さんに対して返品や買いたたきをするというようなこと。購買力の問題については、ヨーロッパを中心に各国でうるさいです。
ただ、日本では、これはわたし個人の意見になりますけれども、危険なのは優越的地位の濫用を非常に強調して、知的財産権の問題、ライセンス協定の問題や、フランチャイズ協定でも、本部あるいはラインセンサーが何かやると優越した地位の濫用だ、と。これをやると非常に混乱すると思います。日本で優越的地位の濫用を入れたのは、昭和28年の改正ですけれども、この時は百貨店の納入問屋に対する扱いが乱暴だと。百貨店と納入問屋というのは、江戸時代からあったから義理人情の世界で、だいたい契約なんてないわけです。要するに契約で内容を決めないで、売ってください、売ってあげましょう、と。今度は、これは売れなかったから返します、とか。その代わり、後で面倒みましょうね、というようなかたちです。百貨店の間の競争が激しくなると面倒をみないから、弊害が非常に出てきた。昭和28年はちょうどそういうときでした。それに対しては、契約もないからおかしいということで、濫用でやったわけです。ですから、下請法にしても、契約をしないさい、と。契約をしたときには値段がいくらかちゃんと決めなさい、と。決めた値段を買いたたいてはいけない、と。後で勝手に変えてはいけない、ということですね。当たり前のことをしている。ですから、外国の独禁法の学者が来て、それを聞いて、これは外国では裁判所でやることだ、と。なぜここではそんなところまで入ってくるのか、ということで怪訝な顔をしていたわけです。ですから、やはりどこの国でもそのような濫用がある。アメリカでも三越事件と同じようなメイシー事件というのがあって、返品などをやっていて、やったことがありますから、ないわけではないですが、あまりこれをやるのは危険ではないかという問題があります。本来独禁法というのは自由経済ですね。企業に自由に活動させることが重要なので、カルテルなどで競争者が協定して競争をやめるのがいかん、というので、それが単独行為にも来ているわけですけれども、アメリカの場合非常に慎重です。 
もう1つの問題は、合併の規制などは今アメリカでは厳しい。オバマ政権は独禁法強化ということを言って、合併の事件は非常に少なくてほとんどしていなかったのが、この数年間、毎年倍増です。ただ、事例は全国的なものは非常に少ない。地方的な病院の、合併して独占になるとか、私的独占についても同じように地方的な事件。今大企業の分野というのは、グローバル化して競争が激しいわけです。そこで、あまり合併の問題が出てくることはない。ただ、アメリカではそのようなかたちで、地方的な合併ということです。日本では、合併は、90年代は非常に厳しくて25パーセントを超えるとだいたいイチャモンをつけられたのですが、今は年に2件ぐらいです。ですから、非常に緩やかになっています。ただ、合併の審査のときに経済的な分析が多くなって難しいということで、審査も非常に慎重で、審査で困る。資料要求が非常に強い。これは最近アメリカのですけれども、中国の合併についても、規制される例は少ないですけれども、審査が非常に大変だというわけです。似たような問題が出てきたのではないかと思います。
最近の問題につきまして、日本と外国、特にアメリカと比較して、どのような点が似ているか、どのような点が違うかということだけお話ししました。

 

平成24年1月5日平成24年 年頭所感

 皆様、あけましておめでとうございます。

 現在、独禁法を持っている国は、世界で約100ヵ国以上あり、ICN(International Competition Network)が、毎年大会を開催しています。2~3年前には、日本(京都)でも開催されました。
 独禁法が最も整備されているのが、アメリカとEUであり、ヨーロッパは戦後、独禁法が発達したのはドイツです。戦前は、ドイツはカルテルの母国と言われており、これは一面的な見方であって、専門家の間では、ナチスはカルテルの友、自由主義者はカルテルの敵と言われています。リベラリストが中心となった新自由主義の中で独禁法は制定されました。そういうこともあって、独禁法についてはドイツが熱心で、EUの競争当局の担当者は、ドイツ人が多いのです。
 ヨーロッパの独禁法は、各国ありますが、やはりEUの独禁法が一番整備されています。アメリカは、シャーマン法で、競争制限協定・独占行為・モノクライゼーションの禁止で、判例で決まってきます。EUも共通のところがあり、条約の101条が競争制限協定を規制していて、102条が市場支配的事業者の独占行為を規制しています。EUは判例法で、市場経済の変化に応じて、裁判所が具体的な事例をもとに判断するというルールです。1980年頃を境に実体的な事項に則したやり方に変わってきています。判例法は、現実に即して柔軟にやっています。その点は、アメリカもEUも共通しているところです。EUの公用語は英語なので、アメリカの判例がそのまま使われています。EUの企業同士だけでなく、アメリカの企業の争いもEUで扱うこともあり、情報が密接に交換されていますので、EUの独禁法は尊重した方がいいと思います。本当に参考になる独禁法は、アメリカとEUです。それに比べると日本の独禁法は非常に落ちます。実際、日本の公取委が取り上げる事件の90%超が同業者からの申告です。現在は、市場の利害関係が複雑なので、執行力強化ばかりでなく、市場の実態を見て、公正にかつ客観的に判断してルールを作ることが大切です。私は、アメリカの司法局のホームページを参考にしています。
 そういうことで、独禁法を勉強するときには、何が重要かをよく見ないといけないと思います。

 本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

平成23年9月9日第189回 月例研究会にて

今日の日経新聞に、EUの裁判所が充電器の判決について、「日本の企業の行政制裁金を無効とした」という記事が掲載されていました。EUの裁判所は、最近、行政制裁金を減額していて、行政措置に対しかなりブレーキをかけています。今回の判決は、充電器のカルテルについて、カルテルがなかったというのではなくて、行政制裁金の基準が、日本の古い統計に基づいているため、ヨーロッパの企業と日本の企業とが差別されることになり、差別されたことを理由として制裁金は無効になりました。EUの裁判所は、手続問題について厳格で、手続違反を理由に制裁金が無効とされています。
それとはまた別に、産業界ではEU委員会の行政処分の前の事前手続が不十分だということで前から強い不満が出ていて、EU委員会がそれを検討しています。EUの場合、アメリカのFTCの事前手続がモデルとされ、それに比べて手続が公正でないという不満を産業界が持っています。
 それから、今日の一つの情報ですけれども、アメリカではオバマ大統領が行政機関一般の手続について見直す命令を出したということが報じられていました。行政機関の手続問題というのは、現在重要になってきています。
 アメリカでも裁判所では、例えば3年前のランバス事件判決などでは、立証について非常に厳格です。市場に対する悪影響があったかどうかについての立証ができないということで、ランバス判決ではFTCがした違反事実の認定が証拠不十分ということで、取り消しました。違反事実の立証が非常に難しくなっています。
 日本でも、あまり新聞には出ていませんが、6月に岩手県の談合の問題について、東京高裁が証拠不十分ということで、公正取引委員会の命令を取り消しています。こういう問題がだんだん出てきている時に、公正取引委員会から審判を廃止するという改正案が出ていますが、この改正案は審判手続の廃止を内容とし、手続問題については慎重にやるということの反対の法案で、世界の流れに逆行していると思います。
 

平成23年4月28日最近の月例研究会での会長挨拶より

 EUの独禁法について述べさせていただきます。
 今の独禁法では、アメリカとEUが圧倒的に強いです。世界で100ヵ国以上が、独禁法を持っていますが、整備されているのがアメリカとEUのみです。EUというとヨーロッパという感じなのですが、この10~20年くらい、EUで取り上げられる事件は、アメリカの企業同士の問題が非常に多いです。例えば、インテルやマイクロソフトなどです。

 今、経済はグローバル化していますから、アメリカや日本の企業でもEUで販売しているとEUの独禁法の適用になります。もう一つ重要なのが、EUの公用語は何ヵ国語もあって、翻訳の費用がべらぼうに高いのです。予算の中の相当分が翻訳の費用になっています。その中で記録は他の公用語に訳されますが、実際は英語でやる場合が多いです。1コミッションでも、裁判所でも英語が使われることが多いです。弁護士も外国弁護士はEUでやります。結局、アメリカの判例が使われることが多いです。アメリカの企業同士が、司法省で取り上げてもらえなければ、EUに持ち込んでやるわけです。マイクロソフトの件もそうです。競争者が司法省でうまくいかずにEUのコミッションに持って行って、EUの管轄であるので、取り上げてもらって裁判になりました。アメリカは100年以上に渡っての判例がたくさんあるので、アメリカの判例が使われるのですが、EUの判例が使われる時も、論理などは違っていますが、だんだん調整されて似てきます。EUの独禁法がヨーロッパの独禁法だと思ったら間違いで、アメリカの独禁法と非常に密接になっています。お互いに刺激し合っていて、アメリカの独禁法も成り立っています。

 ですから、独禁法は、圧倒的にこの二つの独禁法が優れていて、アメリカとEU以外は非常に遅れています。日本の独禁法は実体法も手続きももっと調整しないといけないと思います。そうしないと日本の独禁法の将来はないですね。

平成23年1月5日平成23年 年頭所感

明けましておめでとうございます。
 今年の春、通常国会に公取委のほうから審判手続を廃止する法案が出ているのですが、前国会では提案理由の説明だけで、審議に入れなくて、継続審議になり、今度の臨時国会に継続審議のまま出ているわけですが、わたしの聞いているところでは今度の臨時国会では通るのが無理だという状況のようでございます。非常に重要なのですけれども、手続の問題ですからゆっくり審議したほうがわたしはいいと思います。公取委の審判がなくなると、公取委は普通の行政官庁と同じようにどんどん処分をするということになります。わたしが見てみますと、現在でも事前に審判手続がなくなり、事後になって、事実の認定とについて、あまり相手の主張を考えないでやっているというような感じを持っています。これが事後審判もなくなってしまうともっとこの面がおろそかになるのではないかとおそれています。……今、事後審判が非常に増えています。事前審判が、審判が多くて困るというので、課徴金の納付時期を延ばすためにやっているのではないかというので事後にしたのですが、事後にしたら審判が増えてきました。審判手続の問題は、かなり重要な問題なのですけれども、いずれにしても今度の国会はどうも無理なようでございます。
また、一般にあまり知られていないのですけれども、独禁法上非常に重要な判決がアメリカで出ていまして、2007年の電気通信関係のトンブリ判決です。アメリカでは損害賠償など民事手続における、共謀の問題で米国の民事手続では、カルテル関係の問題です。本案審議に入る前に請求について却下できる手続があるのですが、これについて以前の最高裁の判例で1957年のコンレイ判決というのがあり、その時には却下するのは慎重に検討するというものでした。2007年のトンブリ判決は、それを大幅に変えまして、むしろ共謀の事実についての証拠があると十分に考えられなければそれは却下して構わないという判決が出まして、非常に画期的な判決です。正確にいいますと、「関係者間で合意が行われたことを示す真実と見られる十分に具体的な事実が述べられる必要があり、それにより一見して説得的(すぐ分かるということですね)な申立でなければ陪審の審議に入る前に却下して構わない」という判決です。カルテルに対する罰金や損害賠償額が高額になったために、カルテル問題の事件が増えてきました。その場合カルテル、すなわち共同行為ということを安易に訴える傾向がでてきたのです。しかし、共同行為に対するのは単独行為ですが、単独行為というのが競争の元になっているわけです。アメリカは独禁法というのが営業の自由を保護するため、単独行為を保護するために共同行為の共謀を立証するときには十分な証拠がなければそれはやってはいけないということを確認した判決になっております。日本では「合意」ではなくて、「共同の認識」などでやっています。この判決で述べられているのは、競争者間に共通のパーセプションがあってもそれが合意ではないから、合意をはっきり認定しなければ駄目だとしています。アメリカの独禁法にとって重要なのは競争であり、競争というのは個別企業の活動からでてくるので、単独の行為でやっていることについて安易に、共謀だと言って規制してはいけないというわけです。今、非常に制裁金も多くなっていますから、三倍額の損害賠償というのも相当多くなって、どんどん訴訟はが増えています。ですから、この間の濫用を防ぐという意味もあるのですが、そのような判決が出ています。
その判決に基づいて、本来独禁法の共謀の問題なので、いわゆる9.11のテロのときのパキスタンのテロリストを起訴したときに、テロリストのほうが法務長官とFBIの長官が共謀してモスレムで差別をしたということを言いました。その事件にもトンブリ判決の原則を適用しました。このような差別の問題についての共謀、共謀というのは独禁法だけではなくて、アメリカでは普通構わないことでも共謀でやると問題になるということが随分あります。イクバルというのはテロリストの名前ですけれども、イクバル判決で共謀の請求を却下して、これは独禁法だけではなくて民事法を含めた原則だということになっています。これも非常に大きな反響を呼んでいます。
日本では手続の問題はあまり議論されませんが、アメリカでは手続問題が重視されて議論されています。今日の問題とも少し関係があるかと思いますのでご紹介いたしました。

平成22年1月4日平成22年 年頭所感

あけましておめでとうございます。

米国EUでは、以上の様な制裁の厳格化に伴って適正手続の保障(due process of law)の原則により、審査審判手続の適正化を強化して、相手方の防御権の保護を強めているEUは、50年振りに審査審判手続の抜本的な見直しを行い、2003年の理事会規則及び2004年の委員会規則を制定している。
我が国の場合には、2005年の独占禁止法の改正では課徴金の大幅に引き上げたが、同時に執行力強化の観点から勧告手続と事前審判手続を廃止し、事後審判制度に導入し、この点では適正手続の保障の原則を考慮せず、先進国の流れと反対の対策を採っている。
この問題に関して、上記改正法に基づいて設立された内閣府の独占基本問題懇談会(座長・塩野宏教授)は2007年6月に報告書を公表し将来の問題として事後審判制度を事前審判制度に変更するよう提案している。
独占禁止法の適正な運用のためには、課徴金の強化拡大と審査審判手続の適正化の問題は表裏一体の問題であり、速やかにこの手続の適正化問題に対処する必要がある。この点は、独占禁止法の国際的ハーモナイゼーションの見地からも重要である。

平成22年公取同友会総会での挨拶

私は、今回の独占禁止法改正の中で、審判手続廃止の問題を聞いたときはびっくりしました。一昨年からこの問題は出ていましたが、それが現実化するということで非常に驚きました。これには、公正取引委員会の審査審判手続に対する非常に強い企業の不信感というものがあります。それがあって審判の廃止ということが出て来ているわけです。これは、公正取引委員会としては、審判の廃止という形式の問題ではなく、適用を受ける方に不信感があるということを十分知っておかなければいけないと思います。アメリカの場合、あれほど厳しいことをしても、産業界は独禁政策に対して、また、司法省やFTCに対して、信頼が強い。そういう面から言いますとこの問題は非常に重要な問題であり、慎重に考えるべき問題だと思います。私が公正取引委員会に入った頃の独占禁止法とは経済民主化政策ということであり、その内容は二つあり、一つは、 実体規定として、統制経済に対して市場経済を起こすということで、これは現在でも理解されています。もう一つは、手続規定として、処分する前に事前手続として民主的な手続があるということで、この二つから経済民主化政策と言われました。私は、これは非常に重要なことだと思っています。
(最近の公取同友会での伊従会長挨拶より抜粋)

平成21年7月10日第169回 月例研究会にて

お忙しいところ月例研究会にご出席いただきまして、ありがとうございます。新聞報道等で会員の皆様ご存知だと思いますが、独禁法の改正案が衆議院・参議院を通って成立しました。
主な改正点の1つは課徴金を強化していることです。カルテルの首謀者に対しては5割増ということで、10%の5割増、15%まで課徴金をかけるということが1つの目玉になっています。今回5割増にしたために、従来課徴金というのは不当利得の剥奪でした。

平成20年1月22日独占禁止法改正問題に関する意見

1. 排除措置命令・課徴金納付命令前の事前聴聞手続
(1) 問題の所在
 2005年改正独占禁止法は、執行力強化の観点から、違反行為に対して迅速に措置が採れるように、事前審判手続を廃止し、新しい排除措置命令制度及び課徴金納付命令制度を創設した。この制度にあっては、公正取引委員会は排除措置命令をしようとするときに名宛人に、あらかじめ、意見を述べ、及び証拠を提出する機会を付与することとしている( 49 条 3 項)。

平成19年12月4日第153回 月例研究会にて

今日は田村先生に「企業結合」の問題についてガイドラインを中心にお話頂きます。今はあまり新聞では取り上げられていませんが、 2005 年の改正ガイドラインを見直す問題が出ております。今年(平成 19 年) 6 月に、内閣府懇談会が 2 年間の検討の後に問題点を整理した報告書を出しております。今日の講演とも関係があると思いますが、この前の改正で、事前審判を廃止しています。

平成19年6月20日独占禁止法の基本問題に関する意見

1.事前聴聞手続の導入
 公取委の排除措置は営業の一部譲渡など構造的措置を含み、課徴金は数十億円に及ぶ場合もあり、また事実認定が重要であるので、公取委の一方的な判断で処分するのではなく、事前聴聞手続が必要不可欠である。 事前聴聞手続では、米国及びEUのように、手続の冒頭において審査官手持ち資料の完全開示(閲覧謄写)が必要である。 また、処分前に関係官庁との意見調整の機会を置く必要である(旧法60条・61条)。 改正前の事前審判手続は基本的に事前聴聞手続であった。

平成19年6月20日独占禁止法の基本問題に関する意見の説明

1. 事前聴聞手続の導入
(1)重大な行政処分(排除措置命令及び課徴金納付命令)をする場合に、被処分者の手続上の権利保護(防御権)を行政処分の前に図る必要があるが、現行の事前意見提出制度(49条5項)は防御権として不十分であり、これを事前聴聞手続に変更する必要がある。

平成19年3月14日第145回 月例研究会にて

最近、外国の法律事務所が日本にきて、独禁法の問題についても講演会を開くことが多くなってきています。2月にはイギリスの一番大きな法律事務所で、昨年の6月まで公取委の事務総長をしていた上杉さんが顧問として入っておられるフレッシュ・フィールズががヨーロッパを中心に独禁法の講演会を開いています。アメリカにはビンガム・マカッツェ・ムラセという法律事務所があり、戦後日本の企業が対米進出するときに世話になり、大使館や領事館もそこを使ってきており、ムラセという二世の方がいらして、日本の学校も出て日本語も達者な方がいらっしゃるのですが、3月に経団連で法令遵守の問題の対策について話をされ、また別の弁護士の研究会でもアメリカの最近の独禁法のことについてお話なされています。

平成19年2月15日第144回 月例研究会にて

独禁法関係の最近の話題について少しお話します。
  ご存知の通り、新聞記事にも出ましたが、公取委は1月31日付で合併のガイドラインの見直しといいますか、一部修正という形で改正案を発表し、意見募集をしております。昔は日本にはあまり合併問題というのはなかったのですが、最近は非常に多くなって、企業経営の一つのやり方として使われており、そのときに独禁法の問題が出てきます。今度のガイドラインで規制はかなり柔軟になってきておりますが、それでもやはりボーダーラインの問題をどうしたらいいかということで、企業活動とは関係があると思いますので、案をよくみて意見があれば弁護士とも相談して意見を言った方がいいと思います。

平成18年12月13日第143回 月例研究会にて

本日(12月13日)の新聞に液晶の国際カルテルについて、アメリカ、EU、日本、韓国の4カ国で共同して調査をしているという記事がありました。これは新しいやり方です。90年代の半ばから今までに約30件の国際カルテルが取り上げられていますが、国際カルテルは規模が大きいということもあって、ロッシュなどのケースではアメリカでもEUでも500億円の制裁金を課せられています。最近の独禁法の運用では非常に大きな特徴になっていました。それらの国際カルテルにはほとんど日本企業も入っていたのですが、日本では国際カルテルの事件は1件も摘発していません。そういう面でいいますと、公取委がそういうものに参加するというのは非常に新しいやり方といえるかと思います。

平成18年11月8日第142回 月例研究会にて

本日(12月13日)の新聞に液晶の国際カルテルについて、アメリカ、EU、日本、韓国の4カ国で共同して調査をしているという記事がありました。これは新しいやり方です。90年代の半ばから今までに約30件の国際カルテルが取り上げられていますが、国際カルテルは規模が大きいということもあって、ロッシュなどのケースではアメリカでもEUでも500億円の制裁金を課せられています。最近の独禁法の運用では非常に大きな特徴になっていました。それらの国際カルテルにはほとんど日本企業も入っていたのですが、日本では国際カルテルの事件は1件も摘発していません。そういう面でいいますと、公取委がそういうものに参加するというのは非常に新しいやり方といえるかと思います。

平成18年9月19日第140回 月例研究会にて

今日は松下先生に「日本企業の日本における米国企業提訴を禁止する米国判決」という標題でお話をいただきます。90年代は世界経済全体に大きな変動があり、冷戦終結後、東側が市場経済を採用いたしました。また、IT技術を中心にした技術革新も非常に進みました。運輸・通信の料金低下に伴って、グローバル化がどんどん進んでいきました。独禁法についても非常に大きな影響を受けていて、従来とは変わってきているわけですが、今日はその一端を松下先生からお話いただきます。

平成17年10月5日道路公団の談合事件について

新聞等で随分長い間騒がれました道路公団の談合事件についてですが、これは恐らく談合事件としては、今までで最大の事件だと思います。公正取引委員会が45社に対して排除措置をとるということと、公団の関係者、つまり発注者側の方にも、警告などをするという措置が発表されております。これからまだ事件は続くわけですが、私がこれらの事件を見ておりまして、どこかおかしいのではないかという気がいたします。

平成17年5月19日独占禁止法の改正法が成立して

独禁法についての環境は、やや長い目で見た場合に、最近変わってきていると思います。一つは国内でいいますと、90年代以来、規制緩和が進められて、いわゆる規制産業、電力、電気通信事業、運輸、金融といった面に対して政府の直接規制が緩和されて、競争法が適用されるということになり、競争法の国内での適用分野が広くなると同時に、実際に航空の問題についても電力の問題についても、独禁法を適用される事例というものが出てきております。

平成17年5月19日今回見送りとなった独占・寡占規制における不可欠施設の問題について

独禁法の独占・寡占規制における不可欠施設の問題の今後の見通しということですが、この問題は一昨年の平成15年10月の独禁法研究会報告書、これは改正のための報告書だったのですが、そこで出てきました。この中で、独占・寡占対策を今までの考え方とは別に、政府規制が緩和されたということを前提に、大企業、ことに規制産業における大企業を中心にというか、含めて、不可欠施設の問題を中心に独占・寡占対策を考えるという前提で、不可欠施設の問題を出しました。

 

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