研究講座とイベント

  • 2021/07/12
  • 月例研究会
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第289回月例研究会【終了しました。 動画配信致します】

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 競争法も通商法も現在では、自由市場経済を有効に機能させるために不可欠な法制度として理解されている。経済のグローバル化により世界市場が成立するに至る経緯において各国間の貿易自由化のための通商交渉と、その結果形成されてきた通商法が重要な役割を果たし、今では、国際貿易の自由化が各国市場における競争に肯定的な効果をもたらした。

 しかし、これは結果論であり、例えば1890年の米国シャーマン法の制定を主導したジョン・シャーマン上院議員(共和党)が、1890年のマッキンリー関税法成立にも深く関与している。この関税法は、50パーセントに達する高率保護関税を定めるもので、極めて保護貿易主義的な法律である。国内では競争政策の強化を主張する人物が、同時に、海外製品との競争の制限を主張する保護主義者であったわけである。現在では、国際的な自由競争が行われることが、競争政策的にはpositiveに評価されることが一般的であるが、このような評価がなされるようになったのは、せいぜい過去30-40年ほどのことでしかない。

 通商法は、世界各国の経済構造が異なっていること、経済の発展段階が異なっていることを前提として、その間の格差を埋めながら、各国間の貿易(モノの貿易だけに限らない)を自由化・活性化させるという役割を果たしてきた。言い換えると、自由貿易という理念と、各国間の経済的な格差という現実との格差を埋めるのが通商法と言えるかもしれない。そのために、自由貿易を一定程度制限する措置も許容されているところ、かかる措置は競争を制限する行為も正当化している。こうした競争制限効果のある措置をある程度存続することを認めることによって、全体としての貿易の自由化、さらには、市場での競争は活性化された。

 本講では、通商法の発展の歴史と競争法との交錯、通商法に根拠を有する競争を制限する効果を有する行為、中国産業の急速な台頭へ通商法と競争法のハイブリッドな対応の方向性などの課題について検討したい。
演題「競争法と通商法の交錯」
講師西村あさひ法律事務所 弁護士 川合 弘造氏
収録日2021年7月12日(月)

問い合わせ先

競争法研究協会 事務局
〒107-0052 港区赤坂2-16-21-204
TEL. 03-3585-7935  FAX. 03-3585-7955

 

 

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